2011年9月19日月曜日

VHubで各種シミュレーションツールを試す

以前にも紹介しましたが,最新火山研究のデジタルハブを目指して,バッファロー大学のGreg Valentine氏らが中心となって"VHubプロジェクト"が進められています.VHubプロジェクトのWebサイトはこちらからアクセスできます.

VHubのトップページ


このサイトでは,各種シミュレーションの共有,各研究機関の各種ツールの共有,大学の講義,ワークショップのプレゼン資料の閲覧,各自の情報交換等が行えます.

例えば,シミュレーションでは,オンラインで使えるシミュレーションとして,Tephra2, Titan2Dなどがあります.

オンラインで使えるTephra2

Tephra2 (学生版)のシミュレーション結果

オフラインツールにも各種のシミュレーションツールがあります.

VHub上の各種オフラインツール

Conflow (化学組成,火道径などを変化させて,火道内の発泡など状態変化を知るツール)
Eject (各種弾道物のシミュレーションを行える)

アカウントを取得して,ぜひ試して頂ければ幸いです.

VHubでは,過去のプレゼンの資料等も載っています.各自のプレゼンの資料や秘蔵の便利ツールなどを掲載してみてはいかがでしょうか?

2011年8月19日金曜日

火山噴火前兆現象データベース WOVOdat

Earth Observatory of Singapore (EOS)のChris Newhallらが中心となって進めている噴火前兆現象データベースプロジェクト WOVOdatのHPが公開されています.

このHPでは,各種の噴火に至る前の各種地球物理学的なデータ等を,文献を中心にとりまとめており,膨大なデータベースとなっています.利用には登録が必要ですが,ご興味のある方は一度ご覧ください.

2011年6月30日木曜日

ピナツボ火山噴火20周年記念ワークショップ

2011年6月は,1991年6月15日のフィリピンピナツボ火山の噴火から20年に当たります.この度,シンガポールのEarth Observatory of Singapore (EOS)とフィリピンのPHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所)が主催となり,噴火20周年記念ワークショップ,Nanyang GeoScience Roundtable -Can Plinian Eruptions be Forcast?-が6月19日〜24日に開催されました.また今年はフィリピンのタール火山1911年噴火から100周年に当たります.そこで,ワークショップの前半はピナツボ東山麓のクラークで,後半は,タール火山カルデラ北西のタガイタイで開催されました.主催者は,EOSのChris NewhallとPHIVOLCSのRene Sodiumの2名で,EOSやPHIVOLCSの大勢のスタッフがワークショップを支えてくれていました.参加者は世界各国から約60名の参加者があり,連日大規模噴火は予知可能かという内容で議論を行いました.

Nanyang GeoScience Roundtableワークショップの参加者

日本からは,私と荒牧さんの2名が参加しました.私は霧島2011年噴火と富士山の9世紀と18世紀の歴史時代の噴火の話をしました.

大規模噴火の噴火予知はなかなか難しいものがありますが,さまざまな前兆現象や,大規模地震と噴火との関連性についても活発が議論が行われました.

2011年5月10日火曜日

フィリピンピナツボ火山の土砂堆積率

Gran et al. (2011) Long-term post-eruption sedimentation at Mount Pinatubo, Philippines. Geology, 39, 367-370.

1991年に噴火したフィリピンのピナツボ火山において2009年までの土砂の堆積率を,Pasig-PotreroとSacobia川流域で調査した.その結果,噴火後5年間の堆積率変化速度から推定される堆積率よりも早い堆積率で土砂移動が進んでいることがわかった.2009年までの噴火後のこの2つの川の流域の総体積量は7億5千万m3であり,噴火前の堆積率から計算すると約750年分の堆積物を19年間で移動させた計算になる.